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Ｓｉｄｅ Ｂ １
目の前に、ルックが在た。
――もう、在ない筈の存在。
その姿を見て、微かに微笑む。
安堵、なのか、嬉しさ、なのか、ここは〝いつ〟の時なのか。
全てが霞の中に消えそうになる。
……伝えなければ。
これが、最後のチャンス。
紋章が……テッドが与えてくれた、リアンが支えてくれた願い。
そっと手を伸ばす。
――確かに、そこに在る。
ルックは訝る様に少し眼を上げたが、その視線を正面から見詰めた。
「僕の、本心を君に……。――――全部許してる。だから……」
両手で、ルックの手を包んだ。
――どうか、これの意味が伝わるように。
「どうか……『死なないで』」
数瞬の躊躇（ためら）いと共に、ずっと言えなかった言葉を、耳元で囁く。
君を苦しめるだけだとしても、消せなかった願い。
「…………」
ルックが息を呑み、唇を引き結ぶのが解った。
君を迷わせる事が出来るのなら、今はいい。
リアンがきっと動いてくれる。
――根拠もなく、そう思う。
――もう、力が――
体を支えきれずに、ルックの肩にもたれかかる。
その布地の感触を最後に。
意識が遠のいた――。
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