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　　　違い〜新たな友と竜〜


　街道の村で、一行はハンフリーと、元竜騎士見習いのフッチを見かけた。二人とも、三年前に終結した解放戦争の参加者で、デュオン達にとっては昔の仲間だ。

　フッチの新しい友人、ケントを探して、洛帝山に来た一行は、そこで竜の卵を見付けた。

　初めは、ブラック以外の新しい竜の存在を否定していたフッチだったが、あえて卵を切り捨てようとしたハンフリーを見ると、思わずと言った様子で引き止めた。そしてとまどいながらも、生まれた白い竜の子に手を伸ばして告げる。

「今日から君はブライトだよ……」

　その言葉にルックは後衛から一言。

「ネーミングセンス……最悪」

　言いたい放題だ。

「まぁフッチはリアンの立場を知らないからな」
　リアンがブライト皇王率いる、ハイランド王国と交戦中の、同盟軍の軍主だと言うことをフッチは知らない。しかしデュオンの言葉にルックは眉をしかめる。

「それにしたって、ブライト皇家の話し位知らないわけ？」
　あまり良くない噂も飛び交っていた筈なのだが。
「さぁ……それは解らないよ。フッチは知っててやるようにも思えないけど」

　そう言いつつ、デュオンがリアンの様子を窺うと、どこか寂しそうに微笑っていた。やはり、名前が気になったのだろうか。

　あえて何も言わず、デュオンは視線をフッチに戻す。
��竜�≠�切り捨てられるのなら、それはフッチではないのだろう。
　まっとうな立ち直り方への第一歩を踏み出せたフッチに、デュオンは少し眼を細めた。

「……多分俺は、フッチみたいな立ち直り方は出来ないからな……」
　デュオンは少し遠く、祝福と切なさがないまぜになったような眼差しでフッチを見ていた。

「全く……親友殿のこと？」
　言わなくてもそうだろうとは思ったが。ルックの質問に、デュオンはただ、フッチを見つめながら、自分の心情を打ち明けた。

「簡単に��友達�≠ﾌ出来る��彼�≠ｪ少し羨ましいよ。――比べることじゃないとは思うけど」

「……」

　ルックは不機嫌に沈黙した。自分の出る幕ではない。それは解っている。ただ……。

　ダンッ！

　ルックの全体重をかけた片足が、デュオンの足を踏み付けた。
「痛っ、何だよルック」
「しっかりしなよね、あんたはまだ、独りじゃない」
　ルックがそう言って睨み付けると、デュオンの微笑みが返った。

「……ああ、そうだな。��俺�≠ﾍ��俺�≠ﾈりの答えを見付けて見せるよ」

　例え、フッチのようなやり方では立ち直れなくても。ルックの忠告にもかかわらず、もう一度誰かと……リアン達と関わることを決めたのだ。戦いの答えを探し続けると、マッシュと約束したのだから。

「ありがとう、ルック」
「ふん、うっとうしいのが嫌なだけだよ」
「知ってる。――それでも、君がいて良かった」
　デュオンはそう言って微笑う。
「頭、大丈夫？」
「一応、正気だよ」
「あぁそう」

　ルックは疲れた様子で溜め息をついたけれど。それ以上は何も言わず、ただ、目の前の光景を眺めていた。

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