（P１４)
設定破り目次へ 小説目次へ 前のページへ トップページへ戻る
Ｓｉｄｅ Ｂ 十九
ソウルイーターの闇の中にデュオンは降り立つ。
「テッド？ 呼んだのか？」
「なぁ、デュオン。……ちょっと、耳貸せ」
「ん？」
紋章の内的世界で耳も何もないとは思うが。テッドは声をひそめ、何事かささやいた。
そして。
「――何ぃ？！」
デュオンの声が闇の中に響き渡った。
「本気かテッド――？」
「そうすりゃバッチリ アイツの存在を肯定出来ると思わねえか？」
「けど――無理してないか？」
「何がだよ？」
「一人で抱えようって言うなら〝俺〟は反対だ」
――変わってないな。意地張る時、向き合う時、立ち向かう時。
一人称が〝俺〟になる。
テッドは密かに微笑う。
「俺が戻りたいんだ。――問題ないだろ？」
「だったら、手段は選ぶべきだよ。意に添わない方法で、苦しんでる人を知ってる」
「あいつか？ 今回の」
「うん」
デュオンは厳しい眼差しでうなずく。
「……そんな顔するなよ。無理でもやりたいんだ。俺もあの子供に何かしてやりたい。
――俺達でも、幸せになれる、ってさ」
「テッド。――それは、本音だな」
「ああ」
「相性、悪そうに見えたけど、やっぱ、違うんだな？」
「それはそれ、これはこれ、だな。ちょっと身につまされた」
デュオンは少し残念そうに。
「そっか……俺はテッドみたいな解り方は出来ないからな……」
テッドにしか出来ないこと……か……。
「お前は俺が、人間でないと嫌か？」
「馬鹿言うなよ、テッドはテッドだし、テッドは人間だ」
「……お前はそうやって俺を引き寄せてくれる。お前なら〝紋章の器〟の意味さえ変わる」
「……」
「お前が俺の存在を希むなら、その意味が変わる筈だろ。同じ方法で、その魂を希むのなら」
「言いたいことは解るけど……実際可能か？ やると〝風〟 に対抗出来なくなるとか……どうだ？」
デュオンは最奥に向かって呼びかける。
〝――――〟
「そうか――キツイ様なら、〝始まり〟にも協力頼めるだろうけど……でも、その前に」
デュオンはテッドにおもむろに向き直る。
「テッドはその眼で直接〝ハルモニアの秘術〟を見てないだろ？
見て来いよ、結論はそれからだ。この身体貸すから――出来るだろ」
「いいのか？」
「いいよ。――外にいる二人とも話して来なよ。リアンとジョウイとさ」
「――――」