(P６)
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――本当に。
「それでも、滅びずに済んで良かったと……言えるのかも知れない」
「デュオンさん……」
表情の読めない僕は、徒、視線を返す。
「色彩のない世界には、させないさ」
「……はい」
法と混沌の合わさった、戦いを裁く力である〝始まりの紋章〟と、混沌の象徴とも言える、ソウルイーター。
望みは未だ捨てない。
「デュオンさん、僕……夢があるんです」
「……夢？」
「いつか、ルックが〝戻って来たい〟って思える世界にするんです」
「！」
デュオンさんが珍しく目を見張り、僕は続けて尋ねてみる。
「馬鹿なことだって、思いますか？」
ルックは、もう戻らないと言っていた。
だけど。
デュオンさんは、ゆっくりと首を振った。
「いや、……その目標に、僕も乗せてもらおう」
デュオンさんは微かに微笑む。
「馬鹿なことだと思うか？」
「――いいえ」
大切なものを失くした世界。
それでも、馬鹿みたいな目的があれば、この先も生きていける。
ルック、君は、望まないかも知れないけど――。
「未だ、全てが終わった訳じゃない……そうでしょう、デュオンさん」
「ああ」
そう言うと、デュオンさんは、静かに右手を差し出す。
十五年前……あの時と同じだ。
何となく、泣き出したいような感情と共に、
その手を握った。