（P５）

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　　　独りで臨む結末　〜真相の欠片〜


「……？」

　合流した仲間達から、離れて抜け出す人影に、ふと眼が留まった。
　あれは……ビッキー？

　気になって、後を追った。

「ビッキー？　どこに行くんだ？」
「わわっ……あ、フッチくんかぁ、ビックリした――」

　ワンドを構えかけていたビッキーに声を掛けると、飛び上がって振り向いた。

「急に声掛けたら失敗しちゃうよ？」
「あ――ごめん」

　ビッキーの失敗には（巻き込まれた）覚えがある。
　どうやら僕は危険を一つ、危ない所で免れたらしい。

「で、どこに？」
「あのね、デュオンさん達に……って、いっけない！　内緒って言われてたんだっけ……！」

　ビッキーに内緒、か……確かに微妙に不安がある。
　いや、それより……。

　ビッキーはちらりとこっちを見上げて。
「でも、フッチくんなら大丈夫だよね、一緒に約束したし……」
「ビッキー？」

　約束？

「フッチくんも一緒に来る？　
デュオンさんとリアンさんが誘ってくれたの。
全部終わったら、みんなでピクニックに行こうって。そう出来るようにするから、終わったら来て欲しいって」

「……」

　やはり、最初から――そのつもりだったのか。
　今の自分には大義がないと言っていた。
　それが、僕達に刃を向けなかった理由だったのかどうかは……解らないけれど。

「フッチくんも、ルックくんのこと、いい人だって、言ってくれてたでしょ？」
「うん……」

　そうか……十五年前の……約束。
　ルックの言葉で、ピクニックは晴れの日限定になったんだっけ。

　遠い――だけど鮮やかな記憶。

「一緒に来る？」
　僕は少し考えた後、
「いや……今回は止めておくよ」
　そう答えた。

　僕が行くと、多分、今のあの二人は気にするだろうから。

　ビッキーが選ばれた理由が解る気がする。
　そのテレポート能力だけじゃなく、性格が――。

「そう？」
「うん、その代わり――」
　言い掛けて、ふと言葉を止めた。

　ビッキーに口伝で伝えて、正確に伝わる可能性は低い。
　僕は折り畳まれた紙を取り出して、走り書きした。

「その代わり、これ、ルックに会ったら渡してもらえるかな」
「うん、ルックくんに渡せばいいのね？」
「頼むよ」

「うん、じゃまたね、フッチくん！」
「ああ、また」

　次会う時がいつ来るのか――だが、また会うような気がする。
　出来るなら、次会う時は、敵味方ではなく――会える事を願う。

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