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いつものごとく、茶を入れる、グレミオの姿を眺める。
「……」
吸血鬼の側に仕える者と言えば、血を分けた同族か、支配した生ける屍かだ。
だが……今、ここで動いている、こいつは違う。
それがどこか違和感がある。
確かめるようにその頬と首筋の堺に手を伸ばした。
――体温と、脈がある。
――こいつは、人間のままだ。
「？ どうかしましたか」
「――いや、――死んで生き返ると言うのは、どんな気分だ？」
スッと手を引いて訊く。
「どうと言われても……あの時は夢中でしたし……気付いたらあの場所に在たようなものでしたから」
「そうか」
――〝人間〟が側に在ることに、違和感がある。
――これでは、相棒が俺の正体を疑うのも無理はないか。
自分の側に在られるのは、人間ではないモノだけなのではないか、と。
――忘れてしまうんだ。
我々も、かつては人間だった筈なのだが。
〝死〟の淵から、ここに留まっていると言う意味では、俺も同じようなものだが。
どこで道は分かたれるのだろう。
別に今、吸血鬼であることを、後悔している訳ではない。
徒、不思議に思うだけだ。
最も今は、血を飲まなくても大丈夫なようだが。
「……懲りない奴だな」
「えぇ、そうですね」
特に気分を害した風もなく、グレミオは微笑んで応えた。
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