Ｐ10　前のページへ　小説目次２へ　幻想水滸伝関連目次に戻る　　トップページへ戻る

　家族で、親友で、唯一の――相棒。

　なぁ、デュオン。
　俺達が認めなくても、俺達を人間扱いしてくれる奴等は在たのに。
　俺達は、そいつ等を傷付けることばかりして来たよな。

　お前は、そこに行ける。
　今なら、大丈夫だ。
　だから、幸せになれよ。
　俺も――

　なぁ、あんたにこんなこと言うの、間違ってるのかも知れないけど。
　あんたの方がずっと永く生きてるんだと思うけど。

　だけど、俺の分も幸せに――��生きろ�≠諱B

　闘いには勝った。だが犠牲も大きかった。
　ウィンディとバルバロッサ皇帝はグレッグミンスター城の空中庭園から身を投げて行方不明。
　最後の戦いに付いてきてくれた、フリックやビクトールとも崩れ落ちる城で別れたきりだ。
　俺には……城の上に立つことなど出来ないというのに。
　こっそり荷物を纏めて、抜け出した筈なのに……背後から付いて来る気配がある。

　グレミオだ。
　集った百七の宿星と、今回の戦いに協力してくれた元帝国の占い師であるレックナートの門の紋章の力で奇跡的に生き返った金髪の青年。
　だが、彼の魂を取りこんだ時の��力�≠ﾍ、今でも俺の右手の中にあった。
　そして俺はその意味をはかりかねていた。
　取りこまれた時に、��絆�≠ﾌようなものでも出来てしまったのだろうか。
　テッドと、ソウルイーターとの間に、俺にも適わない繋がりが残っていたように。

「帰れ」
　振り返らずに告げるが、相手は取りすがってくる。

「お願いです、私はあなたの上に生きる道を見い出しました。どうかお供させて下さい」
「……懲りない奴だな、そんなに死ぬのが好きか」

「そういう訳ではありませんが……デュオン様は結構いい加減でしょう？」
「……」

　そう見えるだろうか。
　確かにグレミオほどマメではないとは思うが。

「色々やりたいことがあるんですよ。掃除に洗濯に料理に……」
　その変わらなさっぷりに仕方なくため息をついた。

「……一度死んだ命だ、好きにしろ」

「はい！」

　そして俺は、この右手の熱さに、今でもテッドが傍に在ることを感じていた。
　最後の戦いの時――紋章を奪おうとしてきたウィンディから、オデッサ、グレミオ、テオ将軍の��力�≠ﾆ共に、ソウルイーターを護る為に力を貸してくれた時のように。

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