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ＣＡＳＥ・１〜報告〜
広間でお茶を飲んでいると、玄関の方で音がした。グレミオさんの後を追うようにして、僕達も玄関に向かう。
「デュオンさん？」
見ると、丁度グレミオさんが、デュオンさんを出迎えた所で。グレミオさんの眼が親しげにゆるんでいた。
「坊ちゃん……お帰りなさい」
すると、デュオンさんも瞳にいつになく親しげな表情を浮かべて応えた。
「ああ……ただいま、グレミオ」
それから、僕達の方に眼を向ける。
「……やっぱり……待たせてしまったみたいだね」
「やっぱり？」
フッチの言葉に、デュオンさんはゆるく微笑んでうなずいただけで、僕の方を向いた。
「で、用事があるのかな、リアン？」
「あ、はい、その……ルックのこと、大丈夫ですか？ 出来れば次の遠征に一緒に来て欲しいんですけど」
「あぁ、問題ないよ」
デュオンさんはあっさりとそう答えた。
「じゃあ、いいんですね？」
思わず、僕は弾んだ声になった。デュオンさんはうなずいた後、彼の付き人を見上げて確認を取る。
「いいだろ？ グレミオ」
「ええ、頑張って下さいね、坊ちゃん」
「じゃあ、二日後に迎えに来ますから、お願いします」
「了解」
僕とデュオンさんのやり取りの後、サスケが疑問を口にする。
「協力攻撃の方はどうなんだ？ どっちにしろ俺はやりたくねーけど」
「そっちの方も大丈夫と思う。もっとも、普段通りって位の意味でしかないけど」
「ふーん……」
「何か、話したんですか？ ルックと」
フッチの言葉に、デュオンさんは軽く視線を向けて。
「ん？ まぁ……宣戦布告って所かな」
「へ……？」
背を向けかけていたサスケが、嫌そうな顔で振り向く。
「大丈夫だよ。そんな顔しなくても」
「どういうことなんですか？」
僕がそう訊ねると。
「まぁ……お互い無でなければそれでいいって所かな」
「……？」
「――ライバルみたいなものだから」
首を傾げた僕を見て、そうつけ足したデュオンさんは、案外穏やかな顔をしていた。そして――かすかに唇の端を上げる。
「――百年はやいって言われたけどな」
「……そうなんですか……」
相変わらずスゴイ事を言う人だと、ルックの事を思う。それは、他の皆も同じ感想のようだった。
「本当、いけすかねぇな」
サスケの言葉に、デュオンさんは、かすかに困ったような、苦笑に近い表情を浮かべた。
「まぁね。でも、そんな彼だからこそ、傍にいたくなるんだ」
「げ……あんた相当変わってんな」
サスケの嫌そうな顔に、デュオンさんはあくまで静かに答える。
「そうかな、……まぁ、自覚がないわけでもないか」
「でも、悪くないよ」
フッチが言葉を継いだ。僕もうなずく。
それを見たデュオンさんは、かすかに微笑みを返した。
「じゃあ、二日後に」
「はい！」
こうして僕等は、軽い足取りで帰路についた。