お約束。～感想？～
「そっか、それは大変だったね。僕もうっかりしてたよ、前の君は食べても大丈夫だったものだから――言いそびれてしまった」
ナナミ料理の話をしたデュオンさんの反応がこれだった。
「あ、そうだったんですか？ フリックさんなんか倒れたとか何とか」
「まぁ、それはフリックだから」
「え？」
対象は違うけど、僕がフリックさんに言われたのと同じ言い方だった。
デュオンさんは説明を続ける。
「運が悪いと言うか悪運が強いと言うか……全体的に不運なんだよ。ステータス異常なんか真っ先にかかるし」
「そうなんですか」
「ま、個性的な味なのは否めないし、倒れる人の方が多いのも確かなんだが」
「ちなみに、デュオンさんは大丈夫なんですか？ その、食べても」
僕がそう訊いてみると。
「平気だよ、少なくとも倒れたりはしないな」
僕はその返答に、デュオンさんなら何となく雰囲気的に平気な気がするな、と思った。
「そうですか」
「ナナミ料理を食べたって？ 物好きだね」
ルックの反応がこれ。
「別に知ってて食べた訳じゃないよ」
そう言うと、ルックは斜に構えた視線を向けて。
「だろうね、もうナナミの料理の腕はみんな知ってるから、自分から食べようなんて物好きめったにいないよ。
知らない不幸な旅人とかは別だけど」
「ふぅん、でも作っても食べてもらえないってちょっと哀しいかも」
「だったら君が食べなよ」
横から投げやり気なルックの声がした。
「あ、僕ホウアン先生からの禁止令が出てるからダメだった」
そう言うと、ちらりと横目で見られた。
「ふん、軍主特権か」
「え、そうなのかな……ごめん」
自分だけ特別扱って……ちょっと嫌かも。
「そんなことで謝らないでよ、誰だって嫌なら断ればいいし、食べるなら自己責任だよ」
「う、うん。ルックってしっかりしてるね」
「あんたはもっとしっかりしなよ！ 軍主なんだから」
怒鳴られた。
「う、うん。頑張るよ」
「はぁ……もう僕は行くよ？ 君と違って忙しいんだ」
「あ、引き留めてごめん」
お約束。～水面下の人々・２？～
「シュウ軍師殿、一つ確認して置きたいのですが、リアン殿にジョウイ殿のことを明かすおつもりですか」
デュオンの瞳は元、軍主としての鋭さに満ちていた。
シュウ軍師は落ち着き払った所作で答えた。
「戦場で戦う以上いずれ知れることだ。隠す必要はない。リアン殿にはその上で覚悟を決めて頂かなくては」
デュオンは腕を組んで言葉を紡ぐ。
「……成る程、では僕はジョウイ殿に関して〝訊かれた場合は答える〟と言うスタンスで構わないかな。不都合があるなら先に訊いておくよ」
「いえ構いません、話した場合、後ははこちらでフォローさせて頂く」
「ではお任せします」
デュオンはそう言うと、部屋を出て行った。
お約束。～日常？～
「――リアン、何やってるんだ？」
見て解る気もするのだが、あえて訊ねる。
「モグラ、叩いてます！」
爽やかな笑顔と共に、爽やかな答えが返った。
「そうか……」
「沢山叩けたら、モグラスーツ、くれるって！」
泥まみれでハンマー抱える軍主は、そう言って無邪気に笑う。
この状況……軍師殿はさぞ頭が痛いだろう。
最も、自分も人のことは言えないが……。
「デュオンさんも一緒にどうですか？」
「うーん、残念だけど、今用事の途中でね。
――この件が片づいても未だそのつもりがあったら、又声をかけてくれるかな？」
「――解りました！」
――リアンなら、確率は半々位だろう。そんなことを頭の片隅で思う。
「うん。――じゃあまた後で」
「はい！」