お約束。〜不協和音（Ｓｉｄｅルック）〜
僕の忠告にも関わらず、リアンはあいつと関わっているようだ。
と言うより、積極的に世話を焼いていると言う方が正しいか。
リアンの性格上、考え得る状況ではあったが。
――今日は、例の光が出現した場所に調査に出る。
以前と同じメンツのため、当然あいつも来ている。
正直、気分は良くない。なぜか、三年前以上に、紋章の気配がする。
今更不服を隠す必要もなし、リアンに告げる。
「僕は、あんたが行くのは反対だよ。あれはあんたを狙ってたように見えた。
あんたがパーになったら、こいつより面倒だ」
むろん、今の状況でも十分面倒なのだが。軍主の立場がある分、違った面倒になる。まぁ、困るのは主に僕ではない連中だが。
しかし、リアンは。
「けどルック、他の人達じゃ見付けられなかったんだから。僕がいれば出て来る可能性はあると思うよ？」
――こいつのことだ、デュオンに対して責任とか感じてるのかも知れないが。
「そうまでして探したい訳？」
呆れ口調で訊くと。
「うん」
リアンは迷わず返した。
「――あんたが決めることだけどね。もし出たら、そいつを盾に使いなよ。これ以上パーになりようがない」
僕はデュオンに横目で視線を投げた。
「お前っ、よくも……」
サスケが食ってかかる。
それに対して、軽くロッドを構えて牽制する。――魔力付きで。
「僕は当然のことを言ってるだけだよ」
「うーん……」
リアンは困ったように呻くと、おもむろに、僕の方へと向き直った。
「ルックはあれに心当たり、ある？」
「ないよ」
多少気が削がれて、発動を止める。息をつく忍者の存在は黙殺し、リアンに視線を向ける。
「じゃあ、何か気になることがある？ 何だかいつもと違うよ」
リアンのその問いに、あえて素っ気なさを装う。
「僕は徒、今のこいつをここに置くことにも、君がパーになることにも反対なだけだよ。面倒だからね」
「……」
彼は、僅かに納得行かなそうに沈黙した。
全て誤魔化せるとは思っていないし、そのつもりもない。
だが、今は駄目だ。
リアンは、顔を上げると。
「心配してくれてるのは解るよ」
そう言った。
多少誤解が入った言葉だと思うが、黙っておくことにする。
今の問題はそこじゃないのだから。
だが、僕自身の個人的な災難は、この先にあった。