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希の階〜希み叶える応え〜
「ってやっぱりお前じゃないか！ 強い奴って！」
俺は再び山の上に来ていた。
正確には、ジルが在る山小屋だ。
「何で言わなかったんだよ？」
そう問い詰めると。
「俺にも、やる事はある」
「何だよ？」
「――生きる事だ」
重々しく告げられた言葉は、俺には予想外のものだった。
「え？」
「お前の戦いに参加する事は、命の遣り取りをすると言う事だ。敗者には死、それだけだ。
――誰しも無駄に死にたくはない」
「……お前は、俺が負けると思ってるんだな」
俺はジルを睨んでそう言った。
「だが、人は損得のみで動くとも限らん」
「え？」
「損得抜きで人を動かす、それだけの理由があるのならばな」
「理由……？」
損得抜きで動く？
「お前は、命を懸けても後悔しないと思えるだけの何かを、共に戦う者に示す事が出来るか？」
「命を懸けても後悔しないだけの、理由……」
そうか、俺の命は最初っから懸っちゃってるけど、俺が仲間に誘うって事は、それに相手を巻き込むって事だ。
俺と一緒に戦って、命を懸けてもいいと思えるだけの理由……。
「解った。考えてみるよ」
「ああ」
何だか難しい。俺は、一緒に戦ってくれる仲間に、何が出来るんだろう？
だけど、徒単に、自分が、そして仲間が生き残る為だけじゃ、ダメなんだ。
それだけは――何となく解る。