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希の階～願い～
連絡を聞いて俺は治療室に来ていた。
「眼、覚ましたって聞いてさ。――大丈夫？」
「……ああ、問題ない」
プラチナは半身を起こしてそう言った。
「そっか、で、早速なんだけど、色々訊きたいんだけどいい？」
「……ああ」
俺はプラチナの横に腰掛けた。
「――あの時、何があったんだ？ 父上がはりぼてだって聞いたんだけど」
「ああ、あれは弱すぎた。父上の筈が無い」
「どういう事？」
「いくら王の寿命が来ていようとも、一太刀で全てが終わるなどありえない」
「そっか……」
プラチナの説明は続く。
「牢屋にジェイドが来て、最初は助けに来たのかと思ったのだが……。〝印〟を奪えば最終的には俺が王だと言われてな。あまり気乗りはしなかったが隠し通路を使って王の間へ行った」
「隠し通路？」
「ああ、他にも多数あるようだ。ここはさして安全な場所じゃない。なるべく近くに護衛を置いておく事だな」
「解った。」
俺は言葉を切って、続けた。
「で、さ――参謀の事なんだけど。あいつらは一体……」
「ああ、お前も薄々は感づいていただろう。あいつらは天使だ。信用した俺達が馬鹿だったと言う事だな」
「俺は、ショックだったな……」
「……」
プラチナは徒、沈黙を返す。
「〝印〟は絶対に取り返す。そこで相談なんだけど……プラチナ、仲間になってくれない？」
「何を言っているんだ」
僅かに呆れた様な声音。
「サフィもいなくなっちゃったし、最近のゴタゴタで戦力は手薄になっちゃってて結構困ってるんだよね。プラチナの部下達にもちゃんと話すからさ、手伝ってくれると助かるんだけど」
プラチナは頭を振って。
「無茶を言うな。敵同士が共に闘うなど無理だ。無理すぎる。寝首をかかれるとは思わんのか」
「俺の方が強いもん、それはないね！」
そう言うと。
「……」
プラチナは呆れか納得か解らない表情で、考え込む様に黙り込む。
俺は言葉を重ねて頼み込む。
「それにプラチナの方が解ってるだろ？ 力を合わせなきゃあいつらに勝てないって。内輪もめしてる場合じゃないって。なぁ頼むよ、死んだってやることないだろ～？ 俺、本当はお前を助ける為に強くなった様なものだったんだしさ～」
「なんだそれは」
「だから、勝てば殺す権利だけじゃなく、助ける権利も得て決められると思ったから、絶対に勝って決めてやろうと思ったんだ」
そう、それが俺がプラチナと戦う事を決めた理由だった。
「馬鹿かお前は」
素っ気なく言われて、思わず怒鳴り返した。
「馬鹿って言うな！ 真剣だぞ俺は！」
プラチナは、少し考えた後。
「……解った。俺の部下達の命も助けてくれるなら、俺はお前に従おう」
「うん、みんな助ける。宜しくなプラチナ！」
俺はプラチナに手を差しだした。
「……宜しく、兄上」
プラチナは静かな声でそう言って、俺の手を握り返してくれた。
石を取り戻して、この国を守る。
その為に……あいつらと闘うんだ。
プラチナと闘ってた時と同じで……相手を憎めなくても。
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