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希の階～夢と真実～
暖かい夢を視た。少し昔の夢。
当たり前にあいつが在た頃の夢を。
「……夢、かぁ……。そうだよね」
あいつは在ない。
あいつは天使で……。
どうして、だろう。
プラチナと戦えって言われた時も、納得できない何かがあった。
自分の意志だけじゃ無い気がして。
でも今は、それだけじゃ無くて……泣きたいような気持ちになる。
哀しくて、辛い。
〝天使〟が……俺達の〝敵〟？
本当に……それが全部なのか？
ベリルとの会話を思い出す。
〝え、魔人を襲わない天使もいるのか？〟
〝それは在るさ。……でも、それでも天使は魔人の敵なんだよ。――それだけ覚えておきたまえ〟
――俺は何も知らなかった。
何が本当で、何が嘘だった？
全部が嘘だったなんて、それでも思えない。
俺は――。
希の階～忘れたくない物～
「おうじ～ちょっといいですか～？ 両手が塞がってて扉が開けられないのですよ～」
部屋の外から聞こえた、覚えのある声に扉を開けると、プラムが両手に何かを持って立っていた。
「プラム。どうしたんだ？」
「おうじにぷれぜんとなのですよ～」
プラムが両手に抱えて来たのは少し不格好な――。
「ケーキ？ もしかしてプラムが作ったのか？」
「そうなのです～。例え哀しい事や辛い事が沢山あったとしても、世界にはまだまだ奇麗な物や美味しい物があるって事、おうじが忘れない様にがんばって作ったのですよ～」
その言葉に何となく胸の奥が暖かくなった気がした。
「……ありがとう、プラム。一緒に食べようか」
「はいです～。お皿もフォークもばっちりなのですよ～」
プラムの作ったケーキは少し甘すぎる位だったけど、今の俺には――美味しかった。
「おうじ～どうですか～」
「うん、ちょっと甘いけど旨いよ」
「それは良かったです～」
俺達は顔を向け合って微笑み合った。
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