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希の階～プラチナとの決着～
既に奈落王に時間が無いとの指令で、俺とプラチナは王の広間で闘う事になった。
実力は、ほぼ互角。
スピードは、プラチナが、体力は俺の方が勝ってる。
長引けば、有利。
プラチナの猛攻を凌ぎ切れれば、だけど。
「赤の閃光！」
「青の閃光！」
ほぼ同時に編み上げられた言葉が光となって、中央で炸裂する。
――総力戦だ。
俺はプラチナの直撃を受けないように動きながら、次の言葉を唱える。
「大気の白刃！」
プラチナが身体を捻って直撃をかわす。
それからは呪文の応酬だった。
俺は自分の中の魔力が何故か逆に高まっているのを感じていた。
そして――
「赤の閃光！！」
「……っ！」
光は、プラチナを直撃した。
――そして、立っていたのは、俺だった。
「赤の王子の勝利だ」
そう、宣告が下った。
そして父上は俺にプラチナの首を切れと言った。
「プラチナはプラチナでいいじゃないか。王じゃなくても、王子じゃなくてもいいじゃないか。負けたからって何で殺さなくちゃいけないんだ！？」
俺は、父上にプラチナを殺すのは嫌だと言った。
だけど、それは赦されなかった。
王は二人も要らぬ、と。
復讐されない為にも、これが一番良いのだと。
「だって俺達、兄弟なのに！」
勝てば、相手を生かす権利も得られると思っていたのに。
惑う俺に、プラチナまで、王子としての生き方しか知らないから、と言われた。
結局、プラチナは、次の日の処刑の時まで、牢屋に入れられる事になった。
それが、奈落王としての最初の仕事だと。
「……悪くないな」
去り際にプラチナがぽつりとつぶやいた。
「え？」
「……あの冠は、金色の髪によく映える。……俺には、似合わないな」
「……そんな……ことないよ」
俺はそう応えるのがやっとだった。
俺は何だかすっきりしない気分のまま、自室へと帰った。
〝辛い戦いだな〟
ジルの言ってた言葉を思い出す。
本当に、その通りだったよ、ジル。
今は牢に在る筈の彼に、心で話し掛けた。
兄弟で殺し合うのは、納得出来なくて、辛い。
〝難しい事では無い〟
この言葉の意味は相変わらず良く解らなかったけれど。
〝考えてみろ、違う道が開けるかも知れんぞ〟
――本当に？
「あー俺、どうすればいいんだろ」
心は未だ諦め切れないままで。
良い考えも浮かばないまま、俺の夜は更けていった。
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