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希の階～プラムの痛み～
プラムが森の中で佇んでいた。
「プラム、何してるんだ？」
俺が声を掛けると。
「ボクはアプラサスとしては失格なのですよ」
ぽつりとプラムが言った。
「自分が生き残るために、絶対に使っちゃいけない呪文を使ってしまったのですよ。誰かを傷付けるのはいけない事ですのに。アプラサスは慈悲の生き物ですのに」
プラムは自分を責めるように下を向いた。
「それって、あのロードとか言うハンターや、天使達の事？」
「はいです」
そこは、前にプラムが天使に襲われてた場所だった。
辺りには未だ、朽ちかけた天使の屍と、乾いた血の跡が残っていた。
「……天使達の血も……赤かったね。俺達と同じで」
俺は思い出しながらそう言った。
「……」
プラムは小さくうなずいた。
「天使も俺達と同じで、死にたくないって思ってるよね」
「……きっと、そうなのですよ」
「それを殺して生き残らなきゃならないって……辛いね。……でもさ」
これは言ってもいいのか解らなかったけれど。
「でもそうしなきゃ俺はプラムに逢えなかったよ」
そう言うと、プラムは俺の方を向いた。
「おうじ……」
「少なくとも俺は、プラムに逢えて良かったって思ってるよ」
そうすると、プラムはぴょんと飛び跳ねた。
「ありがとうです、おうじ。おうじはあったかいですねぇ」
プラムが眼を細める。
「え、そう？」
「はいです。おうじは僕のお日様なのですよ。やっぱり僕は独りだけれど……ここに在れば寂しくなんかないのですよ」
「そっか、良かった」
俺は笑顔で返す。
「だからおうじ、これからもお役に立たせて下さいね？」
「うん、当然じゃないか」
希の階～夢～
――夢を見た。
痛くて哀しくて、何だか泣きたくなる様な夢。
「……」
ルビイがカロールに斬られていた。
仲間割れをしていた。黒くて紅い世界。
ルビイの瞳は暗い炎を燃やしている様で少し怖かった。
だけど大事な事を聞いた気がする。
ルビイがカロールの異母兄貴？
〝辛い戦いだな〟
ジルの言葉が頭を巡る。
ルビイやカロールも辛いのだろうか？
俺と同じに。