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希の階～伝えそびれた応え～
それから間もなくだった。
あのおっさん――ジルが、プラチナ側についたと言う情報が入ったのは。
〝命を懸けても後悔しないと思えるだけの何か〟
その答えを沢山考えていたのに。
伝える機会さえ無くなったのは、ちょっと残念だと思う。
ジルは、俺達の戦いを〝辛い戦い〟だって言った。
〝違う道が開けるかも知れない〟とも言った。
〝難しい事では無い〟とも。
――あいつと、戦うのか。
何だかちょっと、面白く無かった。
〝違う道があるかも知れない〟と言いながら、プラチナ側についたあいつを……何だか矛盾してると思う。
だけど、気付いた事があるんだ。
俺は別に、プラチナが憎い訳じゃ無い。
俺とプラチナは、生き残る為に、同じ運命を奪い合ってる。
勝たなきゃ、俺が生き残れない。
俺だけじゃなくて、俺に力を貸してくれてる仲間もきっと。
だけど、その理由は、プラチナを憎んだり嫌ったりするのとは、別の事だ。
知る事を諦める理由には、きっとならない。
俺は、消えたくなんか無い。
だけど、おっさんの言葉が頭を巡るんだ。
考える事。諦めちゃ駄目だ。
きっとどんな時でも。
命を懸けても後悔しないと思えるだけの理由。
それは、今の俺にある？
――徒、生き残るだけが目的じゃ、きっと駄目なんだ。
俺は、勝って、生き残って、何がしたい？
俺の、戦う理由――。
俺は初めて、敵側の事ばかり考えて、ぐるぐるしていた。
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