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優等生の理由〜来栖編〜
図書室で御園生にカマ掛けてから、一週間が過ぎた。
あれから御園生は、やけに事務的で、俺とはろくすっぽ会話もしなかった。
その様子は傍目にもピリピリ張りつめていて、ちょっと俺の所為か？ って感じだ。
どーしたもんかね。
日暮れ時、御園生の担任で、此処の寮監でもある水落が、意識を無くした御園生を寮の部屋に運び込んできた。
ブッ倒れたらしい。
……何時かプッツンするんじゃねーかとは思ってたけどな。
御園生は、その後二日間意識不明のままだった。
俺はあんまり他人事に関心なんか持つ方じゃねーけど。――流石に少し、気に掛かった。
最も、看病自体は水落がしてたんで、俺は何もしてはなかったけど。
――俺は、少しばかり不審に思う。
あのペンダントの事と、何か関係があったりはしないか？
こいつの周りで、何か動いてるのだとしたら……。
……それに、あの担任、御園生の事、気に掛けすぎじゃねーか？
俺が言う義理でもねーが、生物の授業、休講になってやがるし。そこまでする理由でもあるのか？
目覚めた御園生に、水落の事を訊いてみたが、心当たりは無いと言う。
「まぁ、人には自分だけの事情って奴があるだろうからな」
俺も、人のことは言えねーし。
「随分、解った様な事を言うんですね」
「ま、お前よりは人生経験は豊富だって事さ」
「寝てばかりなのに……？」
「言ってろ！」
すると奴はふっ……と表情を緩めて微笑った。何時ものイヤミな笑い方じゃなくて、普通だった。
「何だ、お前そんな風に笑えるんだな。普段仏頂面だから気付かなかったけどな」
その方がいいぜ、と言うと、困ったような戸惑った顔をされた。
なるほどなぁ。……コイツ、友達在なかったんだろーな。
案外、素は悪く無いヤツなのかも知れない。
俺は、そんな風に思った。
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