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父上の遺言で、アレンとグレンシールが仲間になった。
「ここにいらっしゃったんですか」
城の片隅で振り向くと、そこにはグレンがいた。
「グレン……昔から、グレンにはボクの居場所がよく解るね」
「貴方も、昔とお変わりなく、静かな場所がお好きですね」
時間を挟んでも、変わらない何かがそこにあった。状況は大分変わってしまったけれど。
「まぁ……一休みってトコ？ ――何か用事？」
「いいえ、姿が見えなかったので来てみただけです」
「そう」
沈黙の後、ボクは切り出した。
「……グレン、ボクを恨んでいる？」
「いえ、テオ様の御遺志ですから」
グレンはためらいなくそう答えた。ボクはそれに少しホッとしながら言葉を続けた。
「そう、……こうして話すのは久しぶりだね」
「ええ」
ぽつりぽつりとつなげられる言葉が、城の石壁に反響する。
「こんな状況だったけど、会えて嬉しいよ」
「はい」
「アレンは怒ってる？」
そう問うと、グレンは困った様子で言葉を濁した。
「は……まぁ……」
「やっぱりね、いいよ、気にしないから」
直情型のアレンは、気持ちを表に出さなければ切り替えられないのだろう。
「そうですか、助かります」
「ボクさ、トモダチが出来たんだよ」
ボクはずっと報告出来ずにいた言葉を告げた。
「それは……以前言っていた……？」
「うん、テッド」
あれからグレン達も仕事で忙しくなって会う機会がなかったのだ。
「そうですか、良かったですね」
「うん……でも……」
「ディーノ様？」
ボクはかいつまんで今までのことを説明した。
「そうですか、ご心配でしょう」
グレンの表情が硬くなってる。
「うん……でもさ、ボク、信じてるんだ、又逢えるって。――バカみたいって思う？」
「ディー様……いえ、馬鹿だとは思いませんが……」
「解ってるよ」
その可能性が低いこと位。
「でもボクは又逢いたいんだ」
「ディー様……叶うといいですね」
「うん……ありがと、グレン」
ボク達は暫く無言のままで、湖を眺めていた。
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