ＣＡＳＥ．１ 家族と呼ぶ存在。（グレミオ４）
「坊ちゃん、起きていらっしゃいますか」
「……ああ」
がちゃりと扉を開けて入って来たのはグレミオだ。
僅かに沈黙が流れる。
「明日が決戦……ですよね」
「ああ」
「……私もお供して宜しいですか？」
その言葉にふうとため息をついた。
そして窓の外を見上げながら……別のことを言った。
「……俺って薄情だよな。犠牲になった人達のためにも最後まで立ち止まらないと決めていたのに。
でも……だからこそ俺……グレミオが生き返ったこと、どこかで都合が悪いって感じてる……！ 立ち止まってしまいそうで」
だがグレミオは、柔らかく微笑んだ。
「坊ちゃん……そこまで想って頂けて私は幸せですよ。あなたを立ち止まらせてしまうくらい、私の存在は大きかったと言うことなのでしょう？ あ、でも実際に立ち止まって貰っては困りますけど」
臆面もなくそう言われて。
「全く、怒る気もうせるな」
苦笑しつつ俺はビクトールから預かっていた大斧を投げるように渡した。
「来るんだろ？」
「はい！」
「ブランクがあるんだから足引っ張るなよ。フリック達と手合わせして大丈夫そうなら来い」
「は、はい！ 頑張ります！」
フリックとビクトールが立ち聞きしていたことには気付いていたけど、僕は気付かないフリをしておいた。
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