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３日目、昼３〜鬼切り〜
「さて――話しは付いたかな？」
「ケイくん」
「僕達の方にはもう少し用がある――だろう？ 烏月さん」
「ああ」
「ケイくん……」
わたしの声に、ケイくんは大丈夫だと、笑って見せた。
だからわたしは信用して、見ている事にした。
「どうやら僕ももう、あまり長くはないだろうから――今、此処で伝えないと、明良さんに顔向け出来なくなるからね」
「――伝える？」
「先代から当代へ、維斗と共に伝えられる裏の秘伝千羽妙見流『鬼切り』を――」
ケイくんが維斗と同じ位の長さの木の枝を手に、枝を担ぐようにして重心を落として構えた。
「その構えは破軍――」
北斗七星の最後の星をかたどった構え。
ダンッ
相撲の四股を踏む様に、ケイくんが重い音と共に踏み込んだ。
「千羽妙見流『鬼切り』！」
そして間合いの外から枝を振り切った。
けれどその先からは不可視の刃が伸びていて――
其れを受けた烏月さんは一撃で体勢を崩した。
「これが……」
その目は、わたしが目を惹かれた強い眼差しだった。
「そう、これが千羽妙見流『鬼切り』だよ、烏月さん」
「……っ」
烏月さんが地面に倒れた。
「烏月さん！？」
「大丈夫、暫くすれば目覚める筈だから」
「そ、そうなの？」
「じゃあ彼女の事を頼むよ」
「ちょっ……待ってケイくん！」
わたしはとっさにケイくんを引き止めた。
「ん？」
「わたし一人じゃ烏月さんを抱えてこんな山道降りられません……」
「あ……そうか、なら取り敢えず羽様の屋敷まで運ぼうか」
「お願いします……」