(P5)
ＣＡＳＥ・５～懸念～
「なぁ、グレミオ、あの三人、大丈夫だと思うか？」
はしゃぐ三人を、旅支度をした二つの影が、遠く眺めていた。
「何がですか？」
デュオンは少し、眉を寄せて、
「解ってるだろ……真の紋章を持つ二人とナナミは、〝ずっと一緒〟には在られない……」
「私と坊っちゃんも、一緒に在るじゃないですか」
デュオンは、視線を微かに落とす。
「……でも……」
「大丈夫ですよ。それが本当に、その人にとって大切なものであるなら、例え、真の紋章の力を持ってしても、失わせる事は出来ません」
「そうだよね……」
明るさを取り戻した瞳が、再び影を帯びる。
「まだ、心配ですか？」
「うん……あの三人は……グレミオみたいに大人じゃないから……」
その言葉に、グレミオは微笑んで、
「……そうでしょうか？ 仮にも真の紋章の力を超える事の出来た人達です。信用しても、大丈夫だと思いますよ」
デュオンは、視界に、リアンの姿をおさめて、
「そう、だね。もしかしたら又、会う事もあるかも知れないな。―― 僕等も行こうか」
「何処へ行きます？」
「何処でも。今まで行った事のない場所（ところ）へ」
「そうですね。――坊っちゃん、心配しなくても、私は、ずっと、坊っちゃんの傍に在ますから……」
「……あぁ……解ってる」
デュオンは、そっと微笑んで応える。
本当にずっとこのままでいられたらいい。
もう何一つ失くさない為に。